弁護士 川久保 皆実 オフィシャルサイト

長時間労働に対する監督指導の強化

昨日、厚生労働省から長時間労働が疑われる事業場に対する監督指導結果が公表されました。

平成28年4月から9月までに、長時間労働が疑われる10,059事業場に対して労働基準監督署による監督指導を実施したところ、違法な時間外労働を確認したのは4,416事業場であり、このうち実際に月80時間を超える残業が認められた事業場は、3,450事業場でした。

-----------
違法な時間外・休日労働があったもの:4,416事業場

≪うち、時間外・休日労働の実績が最も長い労働者の時間数が≫
・1か月当たり80時間を超えるもの : 3,450事業場
・1か月当たり100時間を超えるもの : 2,419事業場
・1か月当たり150時間を超えるもの : 489事業場
・1か月当たり200時間を超えるもの : 116事業場
-----------

厚生労働省では今後も、月80時間を超える残業が疑われる事業場などに対する監督指導の徹底をはじめ、長時間労働の是正に向けた取組を積極的に行っていくとのことです。


この、「月80時間を超える」という基準ラインは、労災認定基準において、脳・心臓疾患の発症前1か月間におおむね100時間または発症前2か月間ないし6か月間にわたって、1か月当たりおおむね80時間を超える時間外労働が認められる場合は、業務と発症との関連性が強いと認定されることとリンクしています。

そして、この基準は、被災者や遺族からの損害賠償請求訴訟(いわゆる「労災民訴」)における因果関係の認定にも深くつながっているのです。


私のクライアント企業様には、「月の時間外労働時間数は80時間を超えないようにしてください」と耳タコなくらい申し上げるようにしています。

実際に災害が発生する前(また、災害を予防するため)に、いかに対策を講じることができるかが、企業側労働弁護士の腕の見せ所なのです。