労基署から指導や勧告を受けてしまったら、どのように対応すればいい?
------------
Q.臨検監督の結果、労働基準監督官から是正勧告書や指導票の交付を受けました。
企業としてはどうすれば良いのでしょうか?
A.指示された期日までに、労働基準監督官に是正(改善)報告書を提出しなければなりません。期日までに是正できそうにない場合には、是正の進行状況と間に合わない理由を担当の労働基準監督官に説明し、是正計画を報告するようにしましょう。
------------
期日までに是正(改善)報告書を提出するための留意点
臨検監督の結果、労働基準監督官が企業に対して直すべき点を指摘する場合、「是正勧告書」や「指導票」といった書類が交付されます。
それぞれの書類の違いは、以下のとおりです。
是正勧告書 | 労働基準監督官が、使用者(事業場)に法令違反があると判断した場合に交付されます。 |
---|---|
指導票 | 労働基準監督官が、使用者(事業場)に法令違反ではないが改善すべき点(ガイドライン違反等)があると判断した場合に交付されます。 |
いずれの書類にも、いつまでに是正(改善)しなければいけないかを定めた是正(報告)期日が記載されていますので、原則として、その期日までに違反事項を是正したり、指導事項について改善措置をとったりして、是正(改善)報告書を提出しなければなりません。
是正事項によっては、しっかりと是正したことを労働基準監督官にアピールするために、適宜、証拠書類(例えば、賃金未払いの是正であれば賃金を支払ったことを示す給与明細、危険箇所の是正であれば是正箇所の写真や図面等)を添付すると良いでしょう。
また、是正(改善)報告書の文案ができた時点で、一旦担当の労働基準監督官にアポイントメントを取り、文案を持参して是正内容や改善措置を説明し、あらかじめ承諾を得ておくと、その後の手続きがスムーズになります。
もし、この時点で文案の修正を指示された場合にはその通りに修正したうえで、是正期日までに届くように、是正(改善)報告書の原本を担当の労働基準監督官あてに送付または持参しましょう。
間に合わないときは速やかに是正計画を報告する
それでは、是正期日までに是正が間に合いそうもない場合には、どうすれば良いのでしょうか?
例えば、就業規則の作成義務があるのに全く作成していない場合や、大勢の従業員について時間外手当等の再計算をしなければいけない場合など、どうしても是正期日までに間に合わないという場合もありますよね。
そのような場合には、担当の労働基準監督官に対して、あらかじめ是正作業の進行状況と是正期日までに間に合わない理由を説明し、いつまでに・どのように行うかという是正(改善)の予定(是正計画)を報告するようにしましょう。
労働基準監督官が、是正期日までに間に合わない事情を理解し、納得してくれれば、是正期日を延期してもらえます。
また、使用者の真摯な態度が伝われば、是正期日に間に合わなかったからといって、すぐに送検されるということはありません。
逆に、是正勧告を無視して、是正期日までに何の連絡もせず放置してしまうと、再監督、再々監督が行われ、最終的に是正が確認できない場合には、「最終是正督促」という文書を交付されます。
その文書に記載されている期日までに是正しない場合は、「悪質事業場である」、あるいは「是正の意思がない」ものとして、担当の労働基準監督官から地方検察庁に送検される可能性がありますので、十分気を付けてください。